フォーカシング
フォーカシングとは
フォーカシング・サンガ
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文献リスト
土江正司(2008)『心の天気を感じてごらん ―子どもと親と先生に贈るフォーカシングと「甘え」の本』コスモス・ライブラリー
土江正司(2005)「心の天気 ―体験過程の象徴化―」、(『フォーカシングの展開』第5章/ナカニシヤ出版)
土江正司(2005)「こころの天気」(『フォーカシング ワークブック』3章3/日本・精神技術研究所)
土江正司(2003)「フォーカシング ―感じの表現とこころの天気―」(児童心理2003年4月号臨時増刊/金子書房)
土江正司(2003)「OUR INTERNAL WEATHER」(『STAYING IN FOCUS』the focusing institute
newsletter Vol.3-1)
小野啓子(2005)「小学校における「こころの天気」の適用についての研究 ―セルフ・フォーカシングによる自己理解を目指して―」北海道教育大学大学院修士論文
上薗俊和(2011)「『こころの天気”予報”描画法』の技法の定時とその感想分析」日本人間性心理学会第30回大会発表論文集
こころの天気描画法

心にも天気がある
「今の心の天気はどうですか。スカッと晴れてる感じですか。」と問われれば、人は目を閉じるか、斜め上の方を向いて自動的に胸の辺りに意識を向け、「スカッとはしてないなあ。ちょっと薄ぐもり。もしかしたら雨が降り出しそうかも。」などと答が返ってくるものです。天気は心の様子を表現するのにとても便利な道具なのです。
天気を表す言葉は豊富にあるし、言葉の未熟な子どもでも割と容易に心の様子を他人に伝えることができます。感じられた心の天気を紙に色鉛筆で描いてみるのもおもしろいでしょう。それを「こころの天気描画法」といいます。
実際にやってみると、少し気分がすっきりしたり、ちょっと意外な自分を発見したりします。特に子どもはこれをとても喜んでやるので、親や担任の先生にとって、子どもの心の状態を把握したり、会話の糸口をつかむ上でとても重宝します。毎日これを実施した小学校のクラスの子どもたちは「こころがすっきりする」、「毎日やりたい」、「こころにうそをつかなくてよくなる」、「その場にあった言葉が使えるようになる」、「友だちと仲良くできる」など概ね肯定的な感想を述べています。また全体に子どもたちの表現力と集中力が向上するようです。
こころの天気描画に使う用紙はA4くらいの大きさがよいと思います。例えば真っ黒や真っ青に塗りつぶしたいときに大きな紙では面倒になるからです。でも中には大きく描きたい人もいるでしょう。自由に選べるのがいいかもしれません。そして紙には枠線が引いてあった方が描きやすいようです。私が最近使っている用紙は以下のリンクをクリックすると表示されるので、そのままコピー用紙などにプリントアウトして利用してください。
(用紙) 天気を描画する枠線の下に「つぶやき」欄が作ってあります。描いた後で天気の理由や説明を書くようになっているのですが、なぜか今まであまり語ったことのないような本音をそこにつぶやくことができます。こうして絵や言葉で気持ちを表すことで、ずいぶんすっきりした感じになるものです。
小学校での実施方法
児童に次のように語りかけます。
「心は目に見えないけど、いろんなことを感じて、それを誰かに聞いてもらいたかったり、表現したかったりします。だけど、なかなかうまく言えなかったり、聞いてもらえなかったりするので、心を表現することをあきらめてしまうことがよくあります。するとしまいには、自分が何を感じているのか自分でもわからなくなってしまい、落ち着きがなくなったり、わけもなく不安になったりします
。
今から行う「心の天気」という方法は、心をお天気にたとえてみることで、今の自分の感じをわかりやすく表現する方法です。
とても気分がいいときは、心の天気は晴れでしょうし、何だか気にかかることがいろいろあるときは、ちょっと曇っていると言えるかも知れません。悲しい雨が降っていることもあるでしょう。すごく腹が立っているときは雷がゴロゴロピカピカしているという表現がぴったりしているかもしれませんね。
ちょうど空の天気が晴れたり曇ったりするように、心の天気もいろいろ移り変わります。いつも晴れがいいというわけではありません。雨や風が気持ち良い時だってあります。大事なのは、今の自分の心はどんな状態なんだろうかときちんと理解できていることなのです。それではさっそくやって見ましょう。天気から描き始めますが、後はどんなことを描いても構いませんよ。」
次に用紙を配って名前を書かせます。色鉛筆を用意させて描き始めるよう指示します。
早い子は10分くらいで描き終わりますので、全体に向けて「描き終わったらもう絵を眺めて、できるだけ気持ちにぴったりな絵を描いてね」と指示します。そして「気持ちにぴったりな絵が描けたら、つぶやきも書いてね」と指示します。
声がけの方法
なかなか描き始めない子のそばに行き、「なかなか見えてこないみたいだね。ゆっくりでいいよ」などと声がけして、しばらくしてからまた様子を見に来ます。とうとう描かない子もいますが、「見えないときは見えないものだからそれでいいんだよ」と声がけします。
見たままの伝え返し
描かれた絵に対する声がけには二つの方法があります。一つは「見たままの伝え返し」です。例えば大きな太陽を描いている子には「大きな太陽だね」。赤い花を描いている子がいたら「赤い花が咲いてるね」などです。「お家が傾いてるね」、「虹が出たねぇ」、「すごい雨だ」など、絵で表されたことをそのまま言葉にしてあげると、子どもはそれについて得意げに語ってくれたりします。
感想の伝え返し
次の声がけ方法は、絵を見て先生なりに感じたことを伝え返す方法です。例えば、「この絵を見ていると先生まで楽しくなってくるなぁ」、「ふぅ、何か辛い気持ちになるねぇ」などです。このような声がけによって子どもたちはどんどん先生に心を開いていくことでしょう。
やってはいけないこと
絵を評価したり、否定してはいけません。「もっと丁寧に!」とか、「太陽が二つ出てるのは変でしょう」は否定です。「上手に描けたね」というのは評価になりますから、避けるべきです。評価されると子どもは心のままの表現よりは、誉められるための絵を描くようになるでしょう。
描き終わったら
小学校で使う場合、子どもたちが描いてくれた絵やつぶやきは、先生に対して表現してくれた気持ちです。ですから「表現してくれてありがとう」という気持ちでコメントを欄外に書いて返してあげるようにすると、子どもたちはこの方法を通して先生と気持ちの交流ができるようになります。コメントの書き方は「声がけの方法」に準じれば結構です。週一回など定期的に行うことで、子どもたちも心を表現できる時間として楽しみにするようになります。20分もあればできるでしょう。提出して、返却した絵は、子どもたち自身でファイルに綴って各自保管したらよいでしょう。以前に描いた絵を懐かしそうに見ながら「前に描いたこころの天気を見ていると元気が出てくる」という感想を持つ子も多くいます。
ときどき「悪口を言われていやだ」などと書かれていたりするものですから、いじめを早期に発見することも可能ですし、教育相談前にこれを実施し、絵を見ながら面談すると会話がスムースに進み、しかも深い内容を聞き取れます。但し、実施に当たってはこの方法の研修を受けられてからが良いでしょう。あるいは
フォーカシングについて多少の実践があった方が良いでしょう。
本の紹介
2008年に著した『こころの天気を感じてごらん −子どもと親と先生に贈るフォーカシングと「甘え」の本−』(コスモス・ライブラリー)に小学校での実践についてもう少し詳しく書きました。その中に小学校の先生によって書かれたこころの天気描画法に関する論文も掲載しています。とても参考になります。またこころの天気を描いた後に俳句を作る方法についても書いています。子どもたちはとても喜んで俳句をたくさん作ってくれます。俳句もまた心を表現する優れた方法です。
