退屈という大問題

定年前の人たちと時々話をします。だいたい言われることは同じです。仕事をやめると時間を持て余す。でも今の仕事を続けるのはもうしんどい。これと言った趣味もないので、なんとなく未来が描けないという感じです。
国分功一郎という哲学者が、人間は定住生活をはじめてから暇と退屈に悩まされるようになったと言っています。狩猟採集生活をしているうちは毎日食べ物を探したり、道具を作ったり、移動したりすることで一日過ごしていたのですから、ああすることないなあ、などと時間を持て余すことなどなかったでしょう。
暇というのは物理的に時間が余っていることですが、退屈というのはこれは心理的なものですね。暇でも退屈しない人もいれば、つまらない仕事をしていると退屈でしょうがなかったりしますから。
退屈というのは人間に常に付きまとう厄介な心理なのだということは昔から哲学的大問題なのだそうです。