世界はどうまとまっていくのでしょうか?

 この一年は「鎌倉殿の13人」に翻弄されながら過ごしました。源氏の世を作るという頼朝の夢に坂東武者の思惑が重なって、ついに平家を倒しますが、その立役者であった義経は今後の統治の妨げとして葬られました。頼朝が亡くなり、2代将軍の下で13人の合議制が始まりましたが、権力を巡って骨肉の争いとなり、次々と彼らは殺されていきます。最終的に権力を維持した執権北条義時は、ついに朝廷の権力者である後鳥羽上皇を隠岐に追放し、並ぶものなき権力者に上り詰めましたが、3人目の妻に跡継ぎのことで恨まれて毒殺されてしまいます。

 政権不安定で民主主義も定着していない国では、現在もこのドラマのようなことが繰り広げられているのではないかと想像します。また、日本と各豪族の関係を世界と各国の関係に拡大して考えてみると、世界は長く戦国時代にあるかのようです。日本は関ヶ原の戦いを経て徳川の時代になりましたが、例えば日本を含む西側陣営がそれ以外の陣営と対戦すれば世界統一がなるなどと単純に考えることは絶対に慎むべきだと思います。関ヶ原の戦い程度で済むはずがありませんし、その後世界がまとまるという保証もありません。

 世界はどんなふうにまとまっていけばよいのでしょうか。現在、地域単位の連携や経済的な連携、そして防衛目的の連携が緻密に進んでいます。さらに感染症や地球温暖化、自然災害、人権問題、食糧問題、難民問題など、様々な問題毎の連携も進んでいます。安保理は機能していませんが、国連の働きは素晴らしいと思います。連携は秩序を生みます。秩序はバランスを生みます。連携の指揮を取る人は必要でしょうけど、今のところ他の星の住民と交渉が必要になることもないですから、「地球代表」なる人物はいなくても良さそうです。

 自然界は誰かの統治によって成り立っているわけではありません。動植物、微生物、菌類などの驚くべき連携が最新科学によって解明されつつあります。単に生存競争しているのではなく、人間には感知できない方法で「対話」しているのだそうです。現代人は言葉に頼りすぎて、言葉で意思表明しないと何も伝わらないようになってしまいましたが、本当は小さな生き物にも劣らない敏感さで連携できる能力を持っているのではないかと私は信じたいです。

 仏教で「色即是空」と言います。色は認識できるすべての“もの”です。空はすべての“もの”は関係性によって成り立っているという存在の原理です。「空即是色」とも言います。連携し合うことで、“もの”は今のように存在し得るのです。空は常に新たなものを創造しながら新しいバランスに至ろうとします。環境が変化すればそれに対応しなければならないからです。それが進化ということなのでしょう。空はとてもダイナミックなのです。

 人間も空によって存在し得ているのに、油断すると連携を忘れて孤独に苛まれてしまいます。連携はギブ&テイクのイメージかも知れませんが、テイクを計算してのギブなら欲深というものです。過剰な欲も人を孤独にします。あらゆる連携が空によってすでに与えられているのですから、私たちはギブ&ギブくらいの心持ちでちょうどよいのだと思います。