寂しさを癒やす本当の友だち

 旧統一協会の信者や家族の被害が報告されていますが、一家破産になっても献金しなければと思わせるのですから、「宗教は怖い」という思いが一段と強まったのではないでしょうか。同じ思いを1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件のときにも味わいました。27年ぶりです。

 日本人の多くは儀式以外で宗教にかかわることが殆どなく、精神性を宗教から学ぶ機会をあまり持ちません。怪しげな宗教から勧誘を受けたときに、仏教やキリスト教などと比較することができないわけです。言い換えれば宗教に対する免疫がないと言えるでしょう。怪しい宗教を見破るには次の3点に気をつけられたら良いでしょう。

① 親切すぎる。やたらほめられる。

②しつこく勧誘される

③ 今のままでは不幸になるなどとほのめかされる

 ③あたりから洗脳が始まります。不安感に働きかけられると、すがりつきたくなる人は多いと思います。高価なものを買わされたりするようになる頃にはもう手遅れ状態です。家族にたしなめられると、逆に宗教団体側の言うことの方に肩入れしたくなるという心理も働きます。

 ①②③のような手口は、私たちの心にある“寂しさ”を刺激します。だから私たちは寂しさに対する自衛手段を持っておく必要があります。

 寂しさは誰かと楽しいひと時を過ごせば慰められますが、それが過ぎればいっそう際立ってしまいます。だから人付き合いは最小限にして、一人でできる趣味や読書に勤しむことなどは、良い自衛手段と言えます。寂しさ対策のできている人は、人と付き合うときに相手に寂しさを埋めてほしいという暗黙の期待を持ちませんから、誰とでもストレスのない付き合い方ができると思います。

 インドのヨーガの聖者、スワミ・チダナンダ大師は講話集『真理への解放』の中で「心は最高の友だち」と述べています。日々瞑想することで、欲求や感情や思考が自己を構成するものではなく、自己と他者の中間どころに位置するもののようになって来ます。つまり親友の位置です。欲求や感情や思考、そしてイメージも、親友なのです。だからどんな欲求や感情がやってきても「いいね、ありがとう」と受け止めてください。どんな思考やイメージがやってきても「いいね、ありがとう」と理解してください。この理解・受容の働きが「自己」そのものです。自己は寂しくなく、傷ついてもおらず、善でも悪でもありません。

 「自分の心は親友ではなく、いつも悪い欲求や悪い感情を押し付けてくる悪友だ」と考えた人もいたかもしれませんね。“悪い”欲求や感情も、元々はあなたのことを思って出てきてくれたもののはずです。ぜひ、そこまで理解を深めて「いいね、ありがとう」とつぶやいてください。