ぼんやりモードと集中モード

2026年9月号

 AIに簡単な質問すると約3wの電力が消費され、それはAI以前の普通のネット検索の約10倍の消費量なのだそうです。誰でも気軽にAIに質問している昨今、AIを支えるデータセンターが急増し、莫大な電力消費と熱が生じて地球温暖化を加速していると懸念されています。

 AIはいろんな情報にアクセスして必要なものを集め、人にわかりやすい形で出力してくれますが、脳もこれと似たような働きをしているときがあります。それは“ぼんやり”しているときです。

ぼんやりモードで脳が整う

 ぼんやりしているとき、言い換えれば雑念だらけになっているとき、脳は活発に活動しながら脳内のいろんな情報を整理したり、必要な情報を取り出そうとしたり、ということを勝手にやっています。またすばらしい発想が出てくるのもこのときです。

 これを脳科学では「デフォルト・モード・ネットワーク」というのだそうですが、ここでは「ぼんやりモード」と言うことにしましょう。

 そして、なんと「ぼんやりモード」のときに脳は、AIと同じく、大量のエネルギーを消費しているのです。それは何かに集中しているとき、つまり「集中モード」のときの15~20倍に上ると言われています。

 それだけのエネルギーを使ってでも、脳が良いパフォーマンスを発揮できる状態に整えるために「ぼんやりモード」が必要ということでしょうね。体全体のエネルギー消費の12~18%が「ぼんやりモード」による消費ということです。辛いことがあって感情が乱れ、あれこれ考えているときなどはもっと消費するでしょう。ちなみに食事の消化によるエネルギー消費は約10%です。

集中モードへの切り替え方法

 「ぼんやりモード」と「集中モード」を上手く切り替えられるといいのですが、これに苦労している人は私だけではないでしょう。好きな漫画やドラマ、あるいはゲームで「集中モード」に入るのは割と簡単ですが、その後も集中を維持したまま勉強や読書や仕事に移行できるわけではありません。楽しいことから楽しくないことに移るのは抵抗が大きいからです。 だから、楽しくないけど「集中モード」に入れる何か、しかも短時間で切り替えられる何かを取り入れる必要があります。

 私が思いつくのは、やはりヨガを2~3ポーズ行うことです。次の2つのアーサナ(ポーズ)だけ行ってみましょう。1~2分で終わります。

立位前屈のアーサナ

 このアーサナは太腿の裏側(ハムストリングス)を伸ばす目的で行います。背筋を伸ばし、顔を上げるところがポイントです。軽めに20秒くらい行い、深く吐きながら肘を曲げてもう10秒、少し強めにハムストリングスを伸ばします。

立位開脚ねじりのアーサナ

 このアーサナでは片手を背中側に巻き付けるようにしながら大きくねじります。顔も目線も上に向けます。軽めに20秒、筋肉が緩んできたらもう10秒、少し強めにねじります。反対も行います。

 「集中モード」への切り替えで大事なのは、決まりきったルーチンを集中しながら行うことです。「何しようかな~」などと迷うとすぐに「ぼんやりモード」に入ってしまいますから、注意が必要です。ラジオ体操をあの音楽とかけ声を聴きながら行うのもお勧めです。やはり体を動かす方が「集中モード」に入りやすいでしょう。

集中しすぎてしまう人は

 逆に、集中し過ぎてしまう体質の人は「ぼんやりモード」への切り替えが苦手です。それはそれで脳の調子を悪くしてしまいます。タイマーを使って20分ごとにイスから立ち上がり、伸びをすると良いでしょう。