トラウマからの回復


2026年1月号
辛い記憶は誰にもあるものです。でも思い出したくありません。
思い出すと感情が乱れて、せっかく調子よくやれていたことがダメになってしまうかもしれませんから。できればそんな記憶は頑丈な箱に入れて封印して、押し入れの奥の衣装ケースのそのまた奥に突っ込んでおきたいところです。
カウンセリングでもトラウマにあえて触れてもらうことはしません。もちろん話の中で相談者のほうからそんな話題が出ることはあります。でも根掘り葉掘り聴くことはしません。

大事なのは記憶そのものではなく、記憶との付き合い方です。頑丈な箱に封印して押し入れの奥にしまい込んで置くことが、今のあなたにとって“安全”と感じられるなら、それが一番です。
体調もよく、生活や人間関係も安定しているなら、ちょっとだけ記憶の箱を近くにおいてみても安全感があるかもしれません。そのとき、不思議なことに箱の中身の質が少し変化したような感じになることがあります。もちろん良い方向に。このときトラウマはすこし回復しています。中身をいじくり回す必要はないのです。
でも、体調も万全ではない、生活も人間関係もちょっとイマイチならどうしようもないのでしょうか。
そういうときは、からだからアプローチする方法があります。実は、トラウマはからだのどこかに居場所を作っています。そこがまさに押し入れの奥に当たる場所なのです。思い出さないようにすることは、知らず知らずにその居場所をあまり感じないようにしているということです。それは安全策ではありますが、そのままでは進展はありませんし、体調もイマイチなままです。

例えばヨガの「極楽のアーサナ」(仰向けに寝るポーズ)を行います。どこにも緊張や違和感がないように丁寧に姿勢を作ってください。そしてからだ中に息を流していきます。例えば、右手から吸って、左手から吐く、左手から吸って、右足から吐く・・こんな具合に、自由にいろいろなところに息を通わせてみます。安全にからだを感じていく一つの方法です。
*今年から「一心塾だより」、「スクールカウンセラーだより」、「メンタルヘルスだより」を一つにまとめて、「からだとこころ」としました。今後ともご愛読、よろしくお願いします。
