緊張場面でこそリラックス

一心塾だより 第108号
A君、B君、C君の三兄弟が歩いていると、近所の怖いおじさんに睨まれました。この緊張場面でA君は凍りついたように動けなくなってしまいました。これは自律神経のうちの副交感神経の一つ、背側迷走神経、通称「フリーズ神経」が活性化したときに生じる状態です。

一方、B君は心臓が高鳴り、手に汗握り、顔が強張り、後退りしています。自律神経のうちの交感神経が活性化するとこうなります。この神経はよく「闘争・逃走神経」と呼ばれています。文字通り、ストレス場面で人を戦いモードや逃げモードにさせる神経です。
ところが、C君は平然としていつもと変わらず、むしろ笑顔で怖いおじさんに挨拶します。おじさんは返事もせずにあっちに行ってしまいました。C君のなかではもう一つの副交感神経である腹側迷走神経、通称「リラックス神経」が活性化することで緊張場面に対処したのです。
A君はこの後お腹が痛くなってトイレに駆け込みました。フリーズ神経が働くと腸を収縮させてしまうのです。A君は緊張場面を想像しただけでフリーズ神経が働いてしまい、トイレにこもってしまうということがよくあります。
B君はストレスがかかると頭に血が上って一つのことしか考えられなくなり、その後はよく頭が痛くなります。闘争・逃走神経が活性化しすぎているのです。
C君ももちろんフリーズ神経や闘争・逃走神経が働くことはあるのですが、すぐにリラックス神経が働いて、緊張場面に適切に対応するので、緊張場面を苦にしません。
A君もB君も家では楽しそうにリラックスして遊んでいます。でも、いざというときにリラックスできないのです。
リラックス神経を鍛えるには、最初はごく緩い緊張場面に身をおいて、自分なりのリラックス法を発動できるようにしていきます。A君はまず、苦手なお父さんと同じ部屋に1分居ることを課題にしました。お父さんがテレビを見ている横で自分もそのテレビを見るようにしました。お父さんがなにか話しかけてきたら「別に」と答えることに決めて、それ以上話しかけてきたら逃げる。それで案外楽に居ることができました。
B君はよくお父さんと口論になるので、ありそうな会話を想定して、父の挑発に乗らないようにしようと決めました。そしてC君に父親役になってもらい会話練習したら本番でもうまくいきました。
このように課題、リラックス法などを細かく決めて、少しずつ難易度を高くしていけば、リラックス神経を鍛えることができます。目的意識を持って、積極的に緊張場面をクリアしていこうとすれば、様々なリラックス法が身についていくことでしょう。
ちょうど一年前の一心塾だより第96号でも自律神経のことを書きましたので、ご参照ください。
