ヨーガと自律神経の話
ヨーガを行うと、筋肉の機能が上がるばかりでなく、心身が落ち着いた状態になります。 これはヨーガが自律神経に作用しているということです。
最近「ポリヴェーガル理論」という自律神経に関する画期的な理論が提出され、ヨーガの効果を理論的に裏付けるものとして注目されています。
専門用語を最小限にして説明しましょう。緊張や恐怖の場面では、①フリーズ(原初的な迷走神経の働き)、②逃げる・闘う(交感神経の働き)、③上手に向き合う(新しい迷走神経の働き)という3つの対処方法のどれかが、神経反射によって選択されます。思考の余地はないのです。
迷走神経とは副交感神経のことですが、おわかりのように迷走神経が「原初的」と「新しい」の二種類あるというのが、ポリヴェーガル理論の重要なところです。原初的とは魚や爬虫類にも備わっているということです。そして、命令系統で言えば、新しい迷走神経は「部長」、交感神経は「課長」、原初的な迷走神経は「係長」に当たります。
新しい迷走神経は顔の表情を作り出します。緊張や恐怖の場面でも、柔和な表情の人がいれば、何となく安心できますね。人類が社会性を発達させる上で、新しい迷走神経は大きな役割を果たしているわけです。
ところで、新しい迷走神経は、安全・安心を感じているときだけ機能します。安全・安心でないときに柔和な顔にはなりようがないですからね。でも、私たちは多くの知恵によって環境に安全・安心を作り出すことができます。知恵こそが「社長」ということができます。
ヨーガは、アーサナ、呼吸法、瞑想によって心身に安全・安心な状態を作り出します。言い換えれば、「部長」を上手に育てる方法です。緊張や恐怖の場面でフリーズしたり、逃げる・闘うという反応をしてしまう人は、ぜひヨーガを始めることをお勧めします。
ポリヴェーガル理論については、ネットに解説が多く出ています。ぜひ検索してみてください。