会は期約せざるを以て真率と為し

 中国の古典『菜根譚』の一文です(講談社学術文庫、p375)。毎月の「ヨーガ読書会」でこの本を数人の仲間と読んでいるのですが、今回はこの文章に出会って、すごく盛り上がりました。

 意味は、「会合は日時を前もって約束しないで会うほうが真実のものであり…」です。菜根譚のこの節では、「世俗を脱した風流人は心の赴くままに悠々自適している。世間の一般的な形式にとらわれるな」というようなことを教えてくれます。

 今は、日時と場所をきっちり決めて、遅刻しないように集まるのが社会人の常識で、私もそれに従っています。しかし、「約束しないで会うほうが真実」と言われて、本当に意表を突かれました。

 そう言えば、子どもの頃は約束もせずに、友だちの家に遊びに行ったものです。また広場でひとり遊んでいると、三々五々近所の子が集まり、何となく隠れんぼしたりしていました。それが真実の出会い方だと言われると、本当にそうだなあと思います。

 仕事を減らして、暇になったらいいだろうなあと思う反面、することがないのもつまらんだろうなあと思っていましたが、本当の風流人になって、ふらっと人の家を尋ねて行ったり、また友人がやってきたり、そんなふうであれば、別に「趣味がないと老後困るぞ」なんてことを思う必要もなさそうです。日がな一日、古民家カフェなどで、本を読んで、やってくる人と談話して、何ていうのもいいでしょうね。

菜根譚の参考リンク 菜根譚(洪自誠)の名言  講談社学術文庫『菜根譚』