辛抱のマインドフルネス2
いろんな感情を飲み込んで、我慢して生活している人は多いと思います。特に子どもは、選択の余地なく、そうせざるを得ないことがあります。そしてそのように育った子どもは大人になってもそれが当たり前になってしまい、今度は逆に子どもに感情を飲み込ませることを、知らずに強いてしまうこともあるでしょう。
感情は欲求と結びついていますから、感情を飲み込むということは、欲求を我慢するということです。友だちと遊びたい欲求を一時的に我慢して、宿題を先に済ませること。おやつのポテトチップスを一袋食べたいところを10枚程度で我慢すること。そういう我慢については、親も子どもの感情を理解できますので、「よく我慢できたね」と褒めることができます。そうされることで、子どもは感情を慰められ、さらに欲求をコントロールすることを覚えます。
ところが、5歳の姉が3歳の弟のおもちゃを取り上げて泣かせてしまったとき、姉は少なからず弟に嫉妬の感情を抱えているものですが、そういう感情を理解できる親は結構少ないかもしれません。理解できなければ、「なんで弟が泣いてるのがわからないの!!」と姉は叱られ、嫉妬の上に「悲しさ」を上乗せして、感情を飲み込まなければならなくなるでしょう。
飲み込んだ感情は、わけのわからない攻撃性や発散欲求などに再生されるかもしれません。感情はエネルギーですから、消えてなくなることはありません。高い気温が台風に変化するように、形を変えてどこかに出現します。もしどこにもエネルギーの行き場がなければ、身体や心の症状となって現れることも珍しくありません。
子どもの感情は大人が理解してあげることで、向上心や好奇心というエネルギーに変換されますが、大人の感情はなかなか身近に理解してくれる人がいないことが多いと思います。年々その傾向が強まっているように感じます。
ですから自分が自分の感情の理解者になることが大事なのです。
「今悲しみの感情があるなあ。私の全部が悲しいわけじゃない。胸の中の一部分が悲しんでいる。そういう悲しみが自分の中にあることを許してあげよう。そこにあってもいいよと言ってあげよう」
瞑想中であれば、じっとその悲しみを呼吸とともに見守り続けます。それが辛抱のマインドフルネスです。「辛さを抱える」ことができれば、自分が自分の感情の理解者でいることができます。
ヨーガで身体と呼吸を整えましょう。そして安定した座り方と安定した呼吸を自覚できたなら、心の中に長年溜め込まれている感情たちに、「出てきていいよ」と誘ってみましょう。一つ一つの感情に居場所を与え、「そこに居ていいよ」と言ってあげましょう。そして安定した呼吸によって感情に気(エネルギー)を与えてあげてください。気づかれることなくふてくされていた感情も、より良い方向にエネルギー変換されていきます。どんなエネルギーになるかはわかりません。でも、優しくされた感情たちは、きっとあなたのために一番良い形で働いてくれます。