辛抱のマインドフルネス

 ウクライナの人々の痛みを、遠く日本からともに感じていたいと思います。

ウクライナの首都キエフのはちみつ売り

 プーチン大統領は、ウクライナはロシアのものであるべきだという妄想に駆られ、とうとう行動に移してしまいました。妄想を抑えられなかったがために、世界を混乱に陥れてしまいました。非常に罪深いことだと思います。

「辛抱」とは辛さを抱えると書きます。怒りや不安、心配などネガティブな感情が生じることを「辛さ」とすれば、それを「抱える」とは、ネガティブ感情から生じる妄想を行動に移さないことであり、もっとしっかり抱えることによって、妄想そのもの消し去ることです。それを辛抱というのではないかと私は考えます。

 考える自由くらいあってもいいでしょうと思われるかもしれませんが、ネガティブな感情から生じる妄想が良い結果を招かないことは誰でも経験していることではないでしょうか。この手の妄想は大いなる時間の無駄ですが、妄想の最中はそうとは気づかず、非常に重要なことを今自分は考えていると思い込んで火に油を注ぎ続けます。ですから大変エネルギーを消耗し、自分自身をくたびれさせてしまいます。

 妄想に価値を与えている間は、妄想を止めることはできません。まず、妄想が時間とエネルギーの無駄であったことを、過去の経験から確認する必要があると思います。それによって妄想と別れてもよいという気持ちになれたら、次のように辛抱のマインドフルネスを実践すると良いでしょう。

① 妄想が始まったことに気づく

② 妄想の元になっている感情に気づく

③ 呼吸とともにしばらく、感情の存在を感じている

 辛抱のマインドフルネスは、どんな姿勢で行っても構いませんが、少なくとも静止している必要があります。妄想が始まったら、すぐに今の動きを止めて②、③のプロセスに入ります。人は感じることと思考を同時にはできないので、感じている間は妄想が止まっています。日々練習することで、次第に妄想は少なくなっていくことでしょう。そして疲れにくくポジティブな自分になっていることに気づくことでしょう。

 フォーカシングをご存じの方は、辛抱のマインドフルネスがフォーカシングの6ステップの第2段階であることにお気づきでしょう。③によってフェルトセンスが立ち現れます。それはある質感を持って実際に体の内側に感じられる何かです。「感情の存在を感じている」とは、フェルトセンスを感じていることと言い換えることができます。

 しかしここではフォーカシングすることが目的ではありません。取っ手を見つけ、象徴化していく第3段階以降のプロセスに進もうとすると、思考が働きだし、気づいたら妄想に逆戻りということも多々ありますので、ただ感じ続けていてください。辛抱です。呼吸が辛抱を支えてくれます。するといつの間にか最初のネガティブな感じが小さくなったり、消えていることに気づくことと思います。その間おそらく30秒から1分程度です。