怒りのコントロール

一心塾だより 第10号

 8月5日のフォーカシング・サンガではペアになって10分ずつ、フェルトセンスを掴んでそれと対話する練習を取り入れてみました。参加者が増えてきたこともあって、しっかり体験し、スキルアップしていただくために今後も試行錯誤しつつ定着させていきたいと思っています。

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 最近「アンガーマネジメント(怒りの管理)」ということが言われるようになってきました。怒るべきところではきちんと怒るけど、無駄には怒らないということのようです。学校での研修にも取り入れています。本やネットを参考に要素を5つにまとめてみました。

① 怒り始めて6秒間は怒りを客観視することで、最悪の事態は避けられる。
② あなたを怒らせている相手がどうしてくれることをあなたは望んでいるのか気づき、冷静にそれを伝える。相手が怒っている場合は、その人があなたにどうして欲しいと望んでいるか推察してみる。
③ 過去の経験や家族など、変えようのないものに腹を立てないようにする。
④ 「こうあるべき」という自分の信念が尊重されなかったとき人は怒る。
⑤ 信念がわがままなものでないなら怒っても良い

 ①~③はわかりやすいと思うのですが、私が注目するのは④です。何かに腹が立ったときは、自分の中の信念に気づくチャンスなのです。例えば子どもがゲームばかりしていることに腹が立ったとすると、あなたは「ゲームは1時間以内で終わるべきだ」とか「1時間以内で終わるという約束を守るべきだ」などの信念を持っているはずです。「ぴったり言葉」を探していけば、自覚していなかった信念にきっと行き当たるでしょう。そしてその信念が、わがままなものでなければ怒りを我慢する必要はないですし、相手に伝えることも容易です。前者の信念は、子どもからすれば親のわがままに感じられて、反発を買うかもしれませんね。

 誰の心にも信念はありますが、それがもとで怒りだけでなく、落ち込みや悲しみなどの感情が喚起されます。おそらく無自覚な信念はフェルトセンスとセットになっていると考えられます。例えば「約束は守るべきだ」という信念を無自覚に持っている人が、何かの状況で約束を守れそうにない場合、からだのどこかにフェルトセンスを感じることでしょう。そこでフォーカシングすることで無自覚であった信念が自覚され、今後の行動の方向性が見えることでしょう。また、約束を守らない人に対する怒りをフォーカシングするとき、相手の事情に思い至ったり、約束に因われすぎていた自分に気づいたりするかもしれません。無自覚であった信念が自覚化されるとき、その信念は少し洗練されていきます。つまり、わがままでない方向へ向かいます。それによって平穏な心と調和的な人間関係が築かれていくことでしょう。