離見の瞑想

 世阿弥の言葉に「離見の見」というのがあります。能の演者は常々客席から自分の姿を見るような視点を自分の中に持つべきであるということです。

 この離見という言葉、是非覚えてください。瞑想のいちばん重要なポイントです。瞑想の何がいいかというと、離見ができるようになるからです。少し離れたところから自分自身を眺めるとき、いろいろな発見があります。どうでもいいことに執着している自分が見えてきます。また落ち込んでいたとしても、そんな自分を離見で見るとき、愛おしく思えてくるものです。

 離見で大事なのは、善悪の判断なくただ見るということです。善悪の判断をするのはなにかの価値観に囚われているからです。そこから抜け出すのが離見なのです。

 善悪の判断をしないとき、すべてのものに対して等しく慈悲の心を注げるようになります。今の朝ドラの牧野万太郎を見ているとそんな感じですね。植物だけじゃなくて、どんな人にもどんなものにも優しいですね。