リスニング

一心塾だより 第21号

 フォーカシングのリスニングはなかなか難しいものです。
 同じくらいにフォーカサーであることも、一筋縄では行きません。だからリスニングは難しいともいえます。
 聞いてもらいたいことはあるけど、フェルトセンスははっきりしない。そういうことの方が多いのではないでしょうか。
 話し始めているうちに、一番中心の想いに至ることができれば、そこでフェルトセンスを尋ねると良いのですが、多くの場合、話の焦点に迫っていく途中の段階でフェルトセンスを確かめようとするので、フォーカサーの方もうまく焦点化できないようです。
 リスナーは、話を聴きながら、この話の焦点はどこなのか、見当をつけながら聴く力が求められます。
 ところで、フォーカシングを広める上で重要なのは、良きリスナーを育てることよりも、良きフォーカサーを育てることではないかと最近よく思います。
 リスナーに付き合ってもらってフォーカシングする機会はそう多くないと思います。もしセルフ・フォーカシングができれば、毎日でもフォーカシングできます。
 ぜひ自分自身と向き合う時間を日々持ってください。こころの天気を描いたり、瞑想したり、お風呂にゆっくり浸かっているときもセルフ・フォーカシングの時間になりえます。セルフ・フォーカシングのネタは無限にあります。例えば、今日あの場での自分のあり様について振り返ってみると、何らかのフェルトセンスは感じられるはずです。
 セルフフォーカシングに成功するには、ぴったり言葉を考えるのが有効だと思います。ぴったり言葉は、「ネガティブではない、ポジティブすぎない、具体的な行動が見える」という特徴を持っています。
 ジェンドリンの考案したフォーカシングの6ステップを、セルフ・フォーカシングで追っていくのは、なかなか集中力が続きません。しかし、ぴったり言葉を考えるぶんには、考え出した言葉がぴったりかどうかをフェルトセンスに照合するだけなので、割とやりやすいのではないかと思います。

一心塾だより

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