身体知と自立

一心塾だより 第32号

 8月24日、25日の土日に松江市の島根県民会館で行われた「フォーカサーの集いinしまね」には、沖縄から北海道まで日本全国から82名のフォーカサーが集まりました。事例検討からフラダンスまで様々なフォーカシングのワーク(出店)が繰り広げられる中、参加者はフェルトセンスが反応するところに(松江城や宍道湖、あるいは出雲そばのほうに反応する場合もあったようですが)参加され、それぞれに楽しまれたようです。
 ジェンドリン哲学を日本に積極的に紹介されている村里忠之さんの出店「道元の悟りをプロセスモデルで説明する」に参加したときに、「フェルトセンスのことを『身体知』と言うと、フォーカシング以外の心理臨床の流派の人にも通じやすいのだ」ということを聞き、とても得した気がしました。「身体知」いい言葉ですね。これからこの言葉を使っていこうと思います。
 私も今回、「フォーカシング指向ミーティングの試み」という出店を出し、14人の参加者で90分の会議をしました。時間を食う割には不全感を覚えることの多い会議というものを、身体知を取り入れることで十分に自己表現でき、創造性の高いものにしていきたいという願いが私にはあります。今回の試みのポイントは3つです。一つは、時々皆で沈黙の時間を持つこと。2つ目は誰かが話しているときは皆が耳を傾けること。3つ目は全員が話すこと。このルールで「フォーカシングを広めるためには」というテーマを話し合ったですが、多くの方が口にされたのが「フォーカシングを知って生きることが楽になった。このことを広めていきたい」ということでした。
 さすが自立したフォーカサーたちだなあと私は感じ入りました。身体知に全幅の信をおくようになったことで、常識や価値観に囚われず、人間関係のしがらみに振り回されず、それでいてわがままではなく、他者への配慮加減がさわやか。頭で計算しなくても、身体が勝手にそのように私たちを導いてくれるので何も面倒はないのです。本当の自立とはそういうことではないでしょうか。本当にこのことを多くの人に知ってもらいたいと、改めて思えた今回の集いでした。
 余談ですが、多くの方に「松江ってステキなところだね」と言ってもらえました。私のふるさと愛がまた一段と高まった集いでもありました。