甘えとストレス
一心塾だより 第29号
3月に『甘えとストレス』という本を上梓しまして、私としては2冊めの著書となりました。1冊めは『こころの天気を感じてごらん』で、こころの天気描画法について書いたのですが、なぜか後半の第2部は「甘え論」になっています。こころの天気を描くとどうして晴れの方向に向かっていくのだろうかという疑問について、書きながら考えるうちに「甘え論」になったという感じです。少し難しめの本になってしまったので、今度の本は事例を交えてわかりやすく甘えを解説してみました。
『甘えとストレス』の中で私は「ギブ アンド ギブ」という言葉を何度か使いました。甘えとは、相手に対する暗黙の期待という一面があります。何かを与えたときに、その見返りを期待するのはギブアンドテイクです。ところが見返りが期待通りに得られないことがよくあります。そのときに私たちはストレスを感じるのです。
ストレスを感じるくらいなら、期待などしない方がマシです。しかし自分の中の暗黙の期待に気づくには何度もフォーカシングをする必要があるでしょう。そして期待がなくなったら純粋に相手に与えることができるようになります。これがギブアンドギブです。暗黙の期待があるうちは心にフィルターが掛かって、相手が一番必要としているものが見えてきませんが、期待がなければそれがよく見えます。
相手が暗黙のうちに一番必要としているもの。それは自分が暗黙のうちに必要としているものでもあります。それは理解と受容であると私は考えています。